20221214 近況報告、最近あった変化とか

 

 

新しい習慣について

思考が以前と比べ、明瞭ではないことが不快だったため新しい習慣を組み込むことにした。以前から、私と配偶者の間で私の”本を最後まで読み切れない問題”が話題にあがっていたため、それを解決することにした。

 

原因の洗い出し

問題を解決するためにはまず、自分自身の特性を把握することが重要だと考え、原因の洗い出しを始めた。

 

原因1.エネルギー配分が不得意

→本を読み始めると飽きるまで読み続けてしまう特性がある。そして、飽きまでのキャパが小さい。

→一日に読む分量に制限を設ける。

 

原因2.家の中で落ち着いて本を読めない

→家は物が多いため気が散ってしまう。

→天候が悪い日以外は、仕事終わりに借りた本を持って図書館に通う。

 

原因3.本を読むことに対する報酬がないと続けられない

→私は何かを制限されることを最も苦手とするため、制限されることに対して何かしらの報酬が無いと継続ができない。

→一日に読む分量を消化後は自由時間とし、それを報酬(お楽しみ)とする。家に帰ってもいいし、図書館内で気になった本を読んでもいい。

 

その他の決まり
  1. 2週間かけて読み切る本を1冊以上借りる。
  2. 読み切る本は基本、実学の棚から選ぶこととする。(フィクションは選ばないこと、借りること自体は可)

 

決まりについての解説

なぜ理学及び実学の棚から選ぶという制限を設けたのか→今までの自分を顧みたとき、圧倒的に実学系の知識が足りないように感じたため。”全ての道はローマに通ず”ではないが、実学の上に虚構が成り立っていることは明白であり、その虚構の真価を測るには事実の積み重ね(実学)をより尊重する必要があると考えた。

 

約1ヶ月継続した感想

読書ほど楽でかつ実用的な趣味はないな、と感じた。

本を借り、決まった分量を2週間読み続けるだけで達成感を味わうことが出来、実用的な知識も得られるのは非常に美味しい。ランニングなどと比べ、なんて楽で魅力的な趣味なのだろうとひしひしと感じる。

また、本を読むために他の行動が比例して活発になるのもうれしい。本を読み続けると、脳の一部位が疲弊してくるのが分かる。疲弊してきたら、脳のその部位を休ませるために読書以外のことをする必要が出てくる。私は主に、映像作品を見たり、ストレッチをしたり、散歩しに行ったりするようにしている。料理なんかもいい。

 

最近読んだ本について

上記の習慣を継続し読んだ本について読書メーターというサイトで批評をあげているのだが、読書メーターには文字制限があるため、こちらには文字制限を無視した原文ママの文章をあげることにする。

 

1.生き抜くための中学数学: 中学数学の全範囲の基礎が完璧にわかる本 芳沢光雄 著

評価:良書。とにかく著者の数学愛に溢れた本書はエッセイ的な要素もあり、読んでいて幸せな気持ちになれる。2週間かけて全て読み切ったものの、図形の証明部分に関しては走り足で読んだ部分もあるため、また再読したいと考えている。

経緯:数学は好きだったものの、学生時代に腰を据えて学んだ記憶がなかったため、手に取った。

丁度、中学数学から少しずつ分からない点が増えた記憶があったため、丁寧に振り返りができればと考えた。

推奨:数字を使った数学が苦手な人。

構成:全8章。前置きとして算数を取り扱った0章が用意されている。図形を取り扱う章に関しては丁寧な証明を主として構成されており、一般的な教本とは異なる。

 

2.東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか 最相葉月

評価:良書。全体的に平易な言葉で書かれており、箸休めとして読むこともできる。

科学者あるあるなのかもしれないが、後進に向けて、“先入観に囚われてはいけない””他人が言ったことを鵜呑みにしてはいけない”という類のメッセージがよく出てくる。私は、どちらかというとそれをして孤立する側の人間なので勇気をもらえた。様々な立場の人に広く読んでもらいたい。

経緯:実学系の棚から、章ごとに内容が大きく違う本を探していた際、この本に出会った。

推奨:生徒及び学生。また、生徒及び学生と関わりのある人たち。

構成:全12章。1章につき1人の人生が紹介されている。タイトルにもあるとおり、東工大の講義を書籍化したものであり、ゲストをよんでの対談形式になっている章もある。

 

以下、各章に対する感想・印象に残った部分についての抜粋……を書こうかと思っていたが、書く機会を逃したのでやめた。気が向いたらそのうち書こうと思う。

1.生物はなぜ光るのか 下村脩

2.感染症にかける 山内一也

3.偉人伝から遠く離れて マリー・キュリーと弟子・山田信夫

4.原子核物理から心理の道へ 佐々木玲仁

5.遺伝子工学と知らないでいる権利 ウェクスラー気の選択

6.禁断の不均衡進化説 古澤満

7.実践ショートショート 星新一と要素分解共鳴結合 江坂遊

8.空白の天気図と観測精神 広島気象台と猿橋勝子

9.二つの大震災から見えたもの 石田瑞穂

10.人はなぜ回復するのか 中井久夫統合失調症寛解過程論

11.イリュージョンと脳の可能性 柏野牧夫

12.生物模倣のテクノロジー ジャニン・ベニュスとバイオミミクリー

 

3.日本の水環境<3> 関東・甲信越編 社団法人日本水環境学会 編

評価:稀にみる良書。全体的に文章は固いが、非常に洗練されており、様々な方面に対する敬意も感じた。水について、日本について知りたいときかれた場合、この本を挙げる可能性が高い。

経緯:今の仕事に関連する本を読もうと思い、手に取った。

推奨:旅行、歴史が好きな人。地球科学・環境保護などに興味がある人。

注意点:2000年に発行された本であるため、情報が少し古い。しかし、2000年までの基本的な水に関する情報が記されており、読む価値はあると思う。

構成:全5章。地域ごとの水環境の特徴、水に関する歴史や文化、水利用の変遷、開発と環境問題、環境保全の5つの章で成り立っている。水に関する歴史や文化は笑えるところも多く比較的楽しく読むことができた。開発と環境問題の特に後半にかけてが聞きなれない単語が多く登場し、一番辛かった記憶がある。この章は全体的に数字、表、グラフが多く、感染性微生物や微量化学物質の辺りなんかは見慣れない横文字が出てきてかなりしんどかった。とはいえ、前書きで

”高校生や一般の読者層をも念頭におき、各地域の水環境の様子を平易かつ興味をもって理解出来るよう、無味乾燥とした数値の羅列は避けた”

とあるように、文章全体が非常に理解しやすい順番で整理されているうえ、”てにをは”に注意して丁寧に読み解いていけばある程度の概要は分かるように記載されており、その辺りには執念すら感じた。

 

以下、各章に対する感想・印象に残った部分についての抜粋

1章 自然と水環境

この章を読んでいて一番最初に思ったことは、中禅寺湖に行きたい、だった。私は旅行に行くなら湖沼の近く、それが無理ならせめて川、それすらも無理ならせめて海。という具合に水辺が好きだ。水路でもいい。

この章では主に地形、地質、水質等について取り上げており、付随して治水やダムと電気についても取り上げている。また、それぞれについて地域別にかなり詳細に説明があり、環境保護を語るなら欠かせない本だと私は思う。

2章 歴史の中の水文化

ここでは江戸の水道整備の話が主として取り上げられている。また、水道だけでなく水運やそれに伴う町の発達についても取り上げられており、水文化とは何も上水や下水だけではないということを改めて気づかせてくれる。個人的には川柳の話が特に気に入っている。かの有名な伊達政宗のお孫さんが笑い物にされているような内容のものもあり、全体的にブラックジョークが効いている。伊達騒動については詳しく無いのでまた折に関連の書籍をよみたいなあなどと思ったり。伊達騒動についてはここのサイトの話が個人的に面白かった。狂人の真似とて大路を走らば即ち狂人なり、ということだろうか。

indoor-mama.cocolog-nifty.com

 

3章 関東・甲信越における水利用

このあたりから廃藩置県後の行政の取り組みが取り上げられ始める。この章の図や表は特に分かりやすく、個人的に好きなのは”表-3.2 主な水源開発の種類とその方法”である。発刊から20年も経っているため、変わっている箇所もあるかもしれないがそれにしたって分かりやすい。この表の説明については、興味のない人のほうが多く、一生知らずに死ぬのだろうと思ったりする。行政が何をしているのか知りたい人は特に3章~5章を見てみると良い。

4章 開発と環境の問題

この章では開発が与える環境への変化が取り上げられており、その最たるものとしては公害が挙げられるだろう。関東圏についての本であるため、当然ながら足尾銅山鉱毒事件も取り上げられており、鉱毒による被害がかなり細かく記載されているものの、明暗両方に触れて中立的な観点を意識しているところに個人的には好感が持てた。

また”4.2多摩川水系の開発と河川環境”では当時の東京市川崎市多摩川の水利紛争について触れられており、最終的には国を引っ張り出して相模川の水利権を得た川崎市ごね得やん……などと思ってしまった。(すごい偏った読み方をしている自覚はある。)

5章 水環境保全

最後の章では、市民と行政の連携をとおした環境保全について取り上げている。個人的には関連して記載されている”那珂川下流域の地形特性”と”住民の減災・避難行動”の話がお気に入りだったりする。那珂川付近には水害によってできた地形があり、その近辺の水害の歴史を知っている人々の行動が記されている。大きいスパンの災害ではなく中程度・小程度のスパンで起こる水害の場合はある程度体感的な予想が立てやすく、対処しやすいのだろうか。

4.怖い家: 伝承、怪談、ホラーの中の家の神話学 沖田瑞穂 著

評価:凡書。文体は学術書風を装っているが、内容を読むと連想ゲームの域を出ないように感じた。神話と怪談がオチつきで載っているエッセイとして読む分にはありなんじゃないだろうか。個人的には「図書館は何故この本を購入したのかな……? 私だったらぜっっっったい公費では買わないし、買わせないぞ」。

経緯:”日本の水環境”を読むにあたり残り2冊は箸休めになるような本にしようと思い新刊コーナーから選んだ。内容としてはエッセイ4、神話4、ホラー3というところ。

推奨:??? 気になるなら読めばいいが積極的にはおすすめはしない。

構成:全5章。

5.国立科学博物館のひみつ 地球館探検編 成毛眞 著

評価:良書。科博に行く前に是非熟読してから行きたい1冊。日進月歩の科学技術とそれに寄り添うようにして様々な立場の人に中立な立場で現在の科学(事実の積み重ね)を伝えるため、腐心する科博。そのための努力をこの本から垣間見ることが出来る。

経緯:”日本の水環境”を読むにあたり、箸休めになるような本を選んだ。

推奨:科学・歴史に関心がある人。また、旅行好きな人にも読んで貰いたい。

注意点:2017年に発行された本であるため、情報が少し古い。しかし、日本の水環境と同様に研究者たちがどのような志を持ち、科博で働いているのかが分かるため、ぜひ読んでみてもらいたい。

構成:全2章。著者との対談方式でフロアごとに研究者が展示物を説明してくれるとても豪華な仕様。最後には番外として副館長(元文部省官僚)との対談もある。巻末には説明してくれた研究者の専門分野、研究内容、科博の見どころの紹介ページもあり、科博ファンにはたまらない1冊と言える。

6.塵劫記を読み解く百科 江戸時代の大ベストセラー和算書の世界 佐藤健一 著

評価:なし。正確には評価不能。ブックカバーには”和算の入門書としても最適”との売り文句があるが、現代訳、単位についての解説、また解説の並び、計算についての解説、どれをとってもかなり不親切であり、入門書ではないと感じた。そのため、本書を取りこぼしなく理解したいと考えるなら必要な前提知識がそこそこ多いと思われる。(私は時間も前提知識もなかったので読めるところだけ読んだ。)塵劫記の中の数学的解説よりも、塵劫記が書かれた当時の生活背景が知りたい人に薦めたい。

経緯:以前から塵劫記という読み物に興味があったが、”国立科学博物館のひみつ”を読んでからさらに興味を持ったため。

推奨:江戸時代の生活様式和算・日本国内の数学の歴史に関心のある人。

注意点:本書をすべてを理解しようとする場合、数学がそこそこできること、江戸時代の単位の前提知識があること、古文が読めることなどの能力が必要となる。

構成:全5部。個人的には、塵劫記前史、日用数学としての塵劫記、遺題による発展、塵劫記と「和算」が面白かった。当時は現代のような電卓が無い中で計算をする必要があったため、数学を取り扱う職種に求められるものが現代と微妙に違かったり、塵劫記にかかわる人物たちの生活から江戸時代の厳しくもゆったりとした生活様式が垣間見えて非常に興味深かった。また何かの折に本書に再挑戦出来たらいいなと思っている。

 

気がつけば師走ですね。先月は私の三日坊主、浮気症と言われる性質が良い方向に働いて、図らずも人助けをしてしまったりと中々面白い月でした。三日坊主も真剣にやればそこそこいい効果があることを知り、三日坊主を極めていこうと思った次第です。

ゆるりさんの2022年11月の読書メーター 読んだ本の数:4冊 読んだページ数:1054ページ ナイス数:58ナイス ★ゆるりさんの2022年11月に読んだ本一覧はこちら→ >> https://bookmeter.com/users/1374148/summary/monthly/2022/11